令和元年、文科省が打ち立てた 「GIGAスクール構想」では、「生徒1人1台端末」を「令和時代のスタンダード」と定義し、「子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に取り組むことが求められています。
この構想における ICT の活用とは、月に数回使えば良いというものではなく、タブレット端末を筆入れなどと同じように、しまわずに毎回出しておく利用方法が想定されています。
しかしながら教育現場における先生方からは、「端末はあってもどのように使えば良いかわからない」という声が聞こえてきます。
そこで、我々サイエンスグルーヴは九州大学・東京都立大学の研究をもとに開発した生態系シミュレーター Virtual ECOSYSTEM を使った授業の展開を開始し、授業で使用いただける学校を募集を開始します!
大学名は各大学の許可を得て使用しています。
Virtual ECOSYSTEM は高等学校の教科書に記載されている科学的なモデルを「仮想生態系」の中で再現し、一種のゲーム感覚で生態系を学習することができるシステムです。
生態学分野は生物学においてもっとも大きなスケールを扱うため、実験などの実践的教育が難しい分野と言われてきました。そこで、わたしたちサイエンスグルーヴは、シミュレーションを活用することで、室内に居ながらにして、長期間かけて進行する植生変化を体験できる実験を提案しています。
これまでサイエンスグルーヴは、各教育機関と連携し、 Virtual Ecoystem を用いた授業が教員・生徒のみなさまに受け入れられるのかどうか、実証実験を重ねてきました。
実質、ゲームを操作している時間は 30 分程度であったが、取り組むようすを見ると、生徒それぞれが思い思いの目標に重点を置いて取り組んでいることがわかった。時間をゆっくりと進ませて丁寧に伐採する生徒、思い切った皆伐をして「荒稼ぎ」し、その後の再生の過程で多様性を実現させようとする生徒、など、手法もいろいろである。思い切った攻略方法を試すゲーム好きな生徒も、それをそのまま自然に当てはめてよいとは考えていないことが、授業中に交わした会話やレポートの記述から読み取れた。
短い時間の中ですべてを達成しようとしなくても、具体的な目標を持って工夫しながら取り組むことで、気づきはあり、また、目標が達成できなくても、わかることはあって、それぞれが授業の中でそれまでに学習してきたことと付き合わせて考えている。立木助教の助言もあって、ちょっとした方向付けをしておくことで、「伐採」「ゴールド」というゲーム上のしくみをそのまま短絡的に捉える生徒は少なく、よく考えて取り組んでくれていたと感じた。
- このゲームだから、介入をたくさんできましたが、実際の自然の中で介入と同等なことが起こるのは大変なことだと感じました。そのため、さまざまな植物のある植生になることは、自然の植物や動物のさまざまな大きな影響が必要なのだと思いました。人の手で「伐採」や「種まき」をするとしても、どこの、どのような木を伐採するべきなのか、どんな場所に種まきをするべきで、その種まきをした場所の周りはどのようにするべきかを考えなければ、新たな木が育たなかったりするなど、単純なものではないと、改めて感じました。
- 左上の年月を見て、すごく長い年月をかけて植生というものができていってるんだなと思った。
- ただでさえ、ゲームの遊びでも、多様性が難しかったのに、種まき、伐採を自然の力でまかなう、と考えると、何百倍も難しいと思います。普通なら遷移の進行を見ることは不可能に近いので、本物ではありませんが、変化を見ることができて良かったです。
- ただ放置するだけでは美しい山はできないと知った。木々の競争が激しいのだと思った。楽しく学べた。とても時間がかかり、林業は大変そう。
- 介入することで多様性が上がることもあるし、下がることもあるので、人の影響はすごいんだ と思った。
- 今回のシミュレーションでは人工的に木を切ったり種を植えたりしていたけれど、自然だとこの状況が木々の成長で勝手に進んでいったりするので、改めてすごいと思いました。ヤマザクラは陽樹だったので、周りの木に囲まれて枯れたりしやすくて難しかったし、植物図鑑はコンプリートできたけど、ランク A に全然なれなかったので、多様性を保つのって難しいんだな、 と思いました。
普段勉強に対して積極的ではない生徒でも、関心を持ってシミュレーションをプレイすることができる
シミュレーション内のスコアを向上させるために、場合によっては他の生徒と議論をしながら、主体的に取り組むことができる
シミュレーションの中でより高いスコアを達成するために試行錯誤することにより、生態系に対する理解を育むことができる
生態系に対する知識があることで、シミュレーション内で有利な行動を行うことができる
第一弾として、 Virtual ECOSYSTEM による生物基礎科目の「植生の遷移」のシミュレーション体験とそれに対応する解説講義をパッケージとして展開します。
将来的にはシミュレーション単体でご利用いただける形になる予定ですが、現在は弊社イントロダクターの解説授業込みでの展開となります。
取締役 / Chief Operating Officer / Virtual ECOSYSTEM Project Leader
東京都立大学理学研究科助教。
2013年、九州大学大学院システム生命科学府一貫制博士課程修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の博士研究員を経て、2018年4月より東京都立大学理学研究科助教。現在、日本学術振興会海外特別研究員として
Department of Animal and Plant Sciences, University of Sheffield
に滞在。生命の起源とそのロジックを探る進化生態学を専門とする。植物や動物、菌類の生活史戦略や種間相互作用に関して最適化や進化ゲーム理論を用いた研究を展開している。
テーマ | 生物基礎 植生の遷移 |
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主な対象者 | 高校生(文系・理系は問いません) |
場所 |
受講者の学校施設内またはリモート ※シミュレーションのためには生徒が使用できるスマートフォンまたはPCが必要です。 |
参考価格 |
9万円〜 ※ 時間・人数により変化します。詳細はお問い合わせください |
内容 |
第一線の研究者が高校生向けに Virtual ECOSYSTEM
を用いて演習&解説講義を行います。 また高校生にはイメージのつきにくい大学での「研究」に関する概要や生態系に関する進路相談など、要望に応じてアレンジメント可能です。 |
サイエンスグルーヴについての詳しい情報はサイトをご参照ください。
Virtual ECOSYSTEM を使った講義に…