下水中ウイルス濃度から流域のコロナウイルス等の感染者数を予測する解析アプリ「COVIVIS」の正式運用を開始しました

COVIVIS

サイエンスグルーヴと総合研究大学院大学は、環境水中(主に下水中)のウイルス濃度測定データを基に、その流域の発症者数を予測する「COVIVIS(コビビス)」のWebアプリケーション版を開発し、2024年6月より運用を開始いたしました。COVIVISは、公衆衛生に関連する行政機関、医療機関、研究・教育機関、民間企業などを中心にご利用いただくことを想定した無料のWebアプリケーションです(要利用登録)。新型コロナウイルスをはじめ、下水中ウイルス濃度から流域の感染状況を把握する監視システムである下水サーベイランスが全国的に広がっており、COVIVISでは多くの自治体や研究機関に向けて、簡便かつ汎用性の高いデータ解析ツールを提供することを目的としています。

COVIVISは、環境中のウイルス濃度データと感染者数に関する疫学データの双方が十分に存在する期間を用いて、両者の双方向予測が可能な数理モデルの最適なモデルパラメータを推定します。さらに、そのモデルパラメータと新規のウイルス濃度データを予測モデルに入力し、新規の感染者数の予測値を出力します。他にも下水中ウイルス濃度と陽性報告数の時系列データの下処理(検出下限値、移動平均、データ欠損日の補間など)や、陽性報告数データを公表日ベースから発症日ベースへ逆進推定する機能、解析結果のサーバーへの保存や他のユーザーと共有機能を実装しております。

COVIVISは、産学官(国立感染症研究所、地方衛生研究所、自治体、大学、企業)で構成される「下水中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)調査プロジェクト」である NIJIs(New Integrated Japanese Sewage Investigation for COVID-19)の一環として研究開発・運営されております。NIJIs参画メンバーを中心にCOVIVISのユーザーを募り、実装試験を積み重ねることでアプリのバージョンアップや解析結果の蓄積を図ります。また、COVIVISは新型コロナウイルス以外の感染症にも適用可能です。現在NIJIsにおいても様々な病原体に対して下水中からの検出・定量が試みられており、下水サーベイランスが公衆衛生の社会的インフラとなる未来に備えるものであります。

本件に関する詳しい解説は、以下のCOVIVIS トップページに掲載の動画および総合研究大学院大学のプレスリリースをご参照ください。

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